Asst. Prof. Suwan Juntiwasarakij, Ph.D., MEGA Tech Senior Editor
機械、コンピューター、ロボット工学は進歩しており、自ら考え動くことのできる人間の仕事を代行し始めています。人間は問題解決、単純化できない手動操作、分析や作成、決定を行うことができます。人工知能や機械学習、ロボット工学などのおかげでコンピューターや機械は24時間365日人間よりもミスなく効率的に作業できます。しかしながら、機械は単純化できない手動操作のような認知作業、非単純作業に苦戦しています。

Redefining work by human capabilities
未来の人間の仕事
知能を持つ機械の登場により人間の仕事を再定義する必要が生じました。様々な作業を実行したり、同じ作業のなかで新しい技術を習得するよう従業員を訓練したとしても、労働者の根本的な問題解決や会社の可能性を広げることにはなりません。仕事を再定義することによってのみ、会社や顧客、労働者の価値を高める可能性が広がります。それには性質の全く異なる作業に取り掛かる人間本来の能力を磨き、引き出すことが必要です。この号では、作業を再設計することによって人間と機械の協同における最高のモデルケースとなり得るDHLが描く未来を探ります。

Source: Silence the noise, Deloitte Review, January 2019

Source: How AI is reshaping jobs in India, PWC
人間と機械の協同
人間と機械の協同の一つとして、英国交通研究図書館、DHL、DAFトラックはイギリスの高速道路での隊列走行を計画しています。ここでの隊列走行とはトレーラーの集団知能走行を指します。車々間通信と車間距離アシスト技術により、2-5台のトレーラーが加速、ハンドル操作、ブレーキ、車間距離を自動調整し、追従走行が可能です。先頭車に乗った人間の運転手が隊列走行をコントロールし、必要に応じて後続車にも運転手が配置されます。やがてはサプライチェーンのあらゆる場面で自律車両が使用されることになるでしょう。すでにイントラロジステックス、ルート輸送、配達の分野で見かけるようになっています。これから、現在試験的に物流センター、配送センター、配達に導入されている知能ロボットや自動化技術に関するDHLの調査について記述します。

Source: Siemens
DHLの描く未来:物流センター
労働者はシンプルな装置を使ってロボットに簡単な反復作業を覚えさせ、ロボットはクラウドと接続して特定の作業に必要な情報をダウンロードします。これにより人間は操作管理、物流調整、ロボット修理、異常事態や故障の対応など、より高度で責任が重く課題となる作業に取り組むことができます。各物流センターでの単一障害点が減少するため、全体として信頼性が高まります。故障した場合でもロボットを直ちに交換することができます。

Source: Siemens
DHLの描く未来:配送センター
ロボット化倉庫や配送センターは最後のシフトと同様最初のシフトでも効果的です。新しいサプライチェーンは日々の顧客への複数便配送を円滑にしています。シフトを越えて装置を徹底活用することで物流コストを抑え、毎日の複数便配送によって最終的な顧客への配達を早めることができます。商品は予定通りの時間に到着する自動運転トラックで配送センターに運び込まれます。GPSやヤード管理システムを使用することでヤード内及び周辺のトラックの動きを効率よく管理できます。配送センター出発後、ほとんどの荷物はアームロボットでルート配送トラックに積み込まれ、次の配送センターに運ばれます。いくつかの荷物は配達困難地域へ空輸するためドローンに積み込まれます。

Source: Robotics in Logistics, DHL Trend Research

Source: Robotics in Logistics, DHL Trend Research
DHLの描く未来:配達
将来、日常的にロボットと接することになるでしょう。配達ロボットはカメラやレーザースキャナー、近接センサーなどの高度なセンサーを使用した衝突防止システムがあるため安全です。クラウド技術を利用することでロボットは高品質のサービスを提供します。多言語を話し、顧客の感情を判断し、適切なアカウント情報にアクセスすることで相互のやり取りを成立させます。依然として大きな荷物は人間が配達しています。ルート内で配達員の後をついて回るモバイルロボットが荷物を運んで配達員をサポートすることになるでしょう。
重要ポイント
すでに物流の世界でロボットは活躍していますが、数多くの研究によって今後20年間で多くの先進国で労働力が不足することが明らかになっています。世界中でオンラインショッピングが主流となり倉庫内作業員の必要が増す中、懸念材料となっています。ロボット工学の見通しはとても明るく、物流の世界も知能機械技術の進歩の恩恵を受けることでしょう。