Article by: ZEISS & MEGA Tech Magazine
「ＺＥＩＳＳ Ｔ－ＳＣＡＮを使えばポジション移動の手間を掛けずに大型で重量のパーツを上方向から四面全てのスキャンが可能。」
ロボットが50キロのシリンダーブロックを掴み、鋸やミリングカッターに接近する時には振動やスライドモーションを避けなければならない。しかし目的物の生産データからの偏差はロボットにはそう簡単に把握する事は出来ない。
August Mössner GmbH ＆ Co. KGは、鋳造およびアルミニウム産業向けの特殊な機械や可能な限り広範囲における多種多様な材料用鋸、および原子力発電所の解体用の機器を製造しているが、そんな同社がこの問題への解決策を見つけたのだ。ZEISS T SCANを使用して製造されたロボット用のオーダーメイドのマニピュレーターと併せて、機器類のプログラミングが柔軟なレーザースキャンで最適化されるのだ。
数ミリの偏差
クリスチャン・クンツのチームは、偏差の課題に関して重要な役割を持っている。彼のロボット工学、研究開発部門の20名の従業員は、プロセスラインの正確で安全かつ効率的な操作のプラニングをする重大な責務を担当している。
しかし、厄介者はそう簡単には姿を現さない。その厄介の一つは、ロボットがシリンダーブロックをつかむ輪郭部分だ。それらはアイスホッケーのパック位の大きさしかなく、作業中に発生する抗力を相手に、鋳造物を正確につかみ、プロセス中は所定の位置をキープしなくてはならない。これを上手く行なうために、輪郭部分には鋳物の膨らみにぴったりと合う窪みがある。但しこの窪みは当初から有ったものではない。
Kunzは、その後ロボットがコンポーネントを掴み上げるポイントにおけるギアボックスハウジングのラフなキャスティングの輪郭部分を保持している。 しかし、メカトロニクスエンジニアがフィッティングをどんなに回転させたり傾けたりしても、パーツ同士は上手く合わせる事が出来ない。「自動車メーカーが我々のところに送ってきた鋳物を見ると、それらは総じて目標の設計から数ミリの偏差がある」とKunzは説明する。
それらの殆どが新しいタイプのエンジン用の所謂スタートアップパーツなのでこれは当然と言えば当然の事なのである。
量産開始時の公差は当然大きく、その公差の範囲は鋳物のCADモデルには表示されていない。Kunzと彼のチームは、ZEISST-SCANが最も重要なソリューションである事をつきとめた。 エンジニアは、手持ちのレーザースキャナーを使って、エンジンブロックやトランスミッションハウジング等の鋳造物の表面輪郭を測定し、生成されたデータセットを自動車メーカーから入手したターゲットCADデータと比較する。
一方においてこれは実際の状態を文書化するのに役立ち、もう一方においてこの測定は輪郭部分を鋳造物と適合させ、その後のロボットのプログラミングの基礎となる。これによってエンジニアは偏差を迅速に判断でき、輪郭パーツの再加工を直ぐに開始できる。輪郭部分は手作業で再加工されてからスキャンされるので文書化してCADデータに変換できるのだ。
