Mitutoyo MeasurLink®は各種測定機器のデータをリアルタイムに収集・解析・確認できる品質管理ソフトウェアです。当コラムでは、高品質で効率的なものづくりを実現するこのソフトウェアについてご紹介します。
現在の品質検査・管理において、品質検査は製品が製造業者と顧客の間で定めた規格に適合していることを保証するものであり、品質管理の重要なプロセスであるといえます。特に複数の部品で構成される量産品の場合、製造工程で起きたミスによって要求された規格から外れたり、完成品に組み立てられないなどの問題で大量に不良品が発生する可能性があります。
品質管理面でよく見られる課題・問題として、測定データ管理(Measurement Data Management)に関するものがあります。例として、測った測定値を手書きで記録しパソコンに入力している、測定結果を印刷物で保管している、データがパソコンのストレージ容量より大きい、測定値の基準を辿る(トレーサビリティ)ことができない、などが挙げられます。
こうした問題に対処するため多くの製造業者が測定データ管理システム(Data Management System)を導入し、測定機器をアナログ式から測定データ出力機能が付いているデジタル式に変更することでパソコンでリアルタイムにデータを処理することができるようにしています。
所定の期日までに顧客に製品を納入できたとしても、製造工程でエラーになった品質不具合の製品が含まれていれば、新品の再製作や廃棄処分などで時間とコストのロスが生じ、利益は大きく損なわれます。オペレーティングシステム(OS)と接続できるデジタル精密測定機器の導入により、データの記録・転送にかかる時間を短縮しエラーを減らすことができるだけでなく、計測結果のリアルタイム(Real time)処理も可能になります。
機器の変更に伴う測定システムの開発と合わせて必要となるのが、測定プロセスを統計的に監視・管理することで製品の品質を維持し業務を効率化するソフトウエアです。
ミツトヨ(Mitutoyo)の高性能計測データ管理ソフトMitutoyo MeasurLink®は、高い確実性のもとで品質管理を行うための測定データ管理をサポートします。測定プロセスをリアルタイムで統計的に監視・管理し統合的なデータ処理を行うことで、製品に求められる水準および品質を確実に達成することができます。
- オンラインによるデータ収集
- 統計的製造工程管理および解析(SPC)
- リアルタイムでの品質管理、全ての製造システムのステータスをモニタリング
MeasurLink®は質の高い情報共有(Information Sharing)システムを構築できるよう設計されており、効果的なソリューションを提供する統合ネットワーク(Integrated Network)に対応しています。



MeasurLinkの機能により、データを測定機器から収集し作業を簡便化することができます。各種デジタル測定機器からリアルタイムに収集したデータをパソコンに出力し、その結果を即座に表示することが可能です。またノギス(Caliper)、マイクロメータ(Micrometer)、ダイヤルゲージ(Dial Gauges)、ダイヤルテストインジケータ(Dial Test Indicators)、ハイトゲージ(Height Gauges)、三次元測定機(CMM)、画像測定機(Vision Systems)をはじめとする多様なデジタル精密測定機器を用いた計測・検査技術に対応しています。
Mitutoyoの測定機器のなかでもSPCマーク付きのタイプは、コンピューターと接続して測定データを出力することができます。あらゆる工程の測定機器をネットワーク(LANまたはインターネット)でつなげていれば、MeasurLink Real Time Plusのソフトを介して収集した測定結果のさまざまな指数やチャートなどをリアルタイムに表示することが可能です。
品質管理部門の管理者が現在測定中の作業現場の状態がリアルタイム、且つ視覚的にモニタリングすることができ、個々の測定項目の工程能力指数を把握し問題を未然に防ぐことも可能です。品質管理の水準を向上させるだけではなくマネジメントシステム全体も効率化し、顧客の信頼関係を高めることができるでしょう。
MeasurLink® の主な5つのモジュールをご紹介します。
1. Real-Time 各種測定機器からリアルタイムで収集したデータをXbar-R、ヒストグラム、プレコントロールチャート、ランチャート、Cpk、Ppkなどの形でチャート化・数値化し、統計データとして表示します。
2. Process Analyzer で収集した測定結果が保存されているデータベースにアクセスし測定結果の確認・統計解析します。
3. Process Manager 管理者はMeasurLinkデータ収集端末において同じネットワークと接続している測定情報の稼働状態を監視することができます。
4. Gage R&R IATF16949で要求されるMSAの評価・解析を行います。
5. Gage Management ゲージの校正スケジュールを漏れなく計画・実施します。

またMeasurLinkはTrue Position(真位置)Chartの作成および位置公差(Tolerance of Position)制御にも対応しています。関連する寸法の形状をグループ化しTruePosition(真位置)図を表示することでReference dimension(参照寸法)との照合が可能となり、製品と設計図のズレといったエラーの減少につながります。

MeasurLinkを使えばボーナス公差(Bonus Tolerance)の設定や参照値としての実体状態(Material Condition)データを設定した際のCapability values for a position characteristic(位置特性工程能力)の算出も可能です。
Real Time(リアルタイム)データ収集によりスムーズな生産を実現
リアルタイムでのデータ収集により検索プロセスが従来と比べて10倍も早いため、製造現場の測定ステーションをさらに30-50カ所増設することが可能になり、今までしてきた手入力によるデータ記録、印刷物での保管、データが大量になり保存容量を超過する、パソコンにデータを入力する二度手間作業などの課題・問題を解決することができます。
Article by: Sumipol Corporation Limited & MEGA Tech
Reference : https://www.sumipol.com/