Article by: Unnat Pinsopon, Department of Mechanical Engineering, Faculty of Engineering, King Mongkut’s Institute of Technology Ladkrabang.
油圧トランスミッションは、重機械加工から航空飛行制御まで、幅広い産業用途で使用されている。 システム内の動力伝達は図1に示されているように加圧油圧オイルを媒体として伝達される。油圧ポンプは、原動機からの動力を受けて、作動油の流れを作り出す。 オイルはパイプとバルブを通ってアクチュエータに流れ込む。 アクチュエータは最終的に外部負荷に対して電力を供給する。

油圧アクチュエータには2つのタイプがある。1つは直線的に動作するもの(つまり、油圧シリンダー)で、もう1つは角度的に動作する(つまり、油圧モーター)もの。簡単な図(図2)に示すように、油圧シリンダーが伸長している時の動作を考えてみよう。ポンプはシリンダーのヘッドエンド(HE)側に流れを作り出しシリンダーロッドエンド(RE)からのオイルはタンクに戻る。シリンダーピストンの速度(vcyl)は、数式1に示すように、ポンプによって生成される作動油(QP)の流量に依存する。AHEは、HE側のシリンダーピストンの断面積である。


図3は力を加えた状態(摩擦を除く)でのシリンダーピストンの自由体の図である。 数式2は、ピストンの力のバランスを表している。PHEおよびPREは、シリンダーHEおよびREでの油圧。AREはREピストンの断面積で、Fextは外部負荷力である。


シリンダーRE圧力(PRE)の値は、通常、戻りラインの圧力損失を克服するのに十分な大きさであるが、シリンダーHE圧力(PHE)より大幅に低くなる。シリンダーのRE圧力を省くと、シリンダーのHE圧力は、方程式3に示すように外部負荷力に依存する。

ポンプ出口は、シリンダーの延長時にはシリンダーHEに接続される(図2)。因って、ポンプ出口(PP)でのオイルの圧力は、シリンダーHEの圧力に、ポンプ出口とシリンダーHE入口の間の圧力損失を加えたものと等しくなる。圧力損失を無視すると、ポンプ出口の油圧は、シリンダーのHE圧力PP identical PHEとほぼ同等の値である。
油圧ポンプによって供給される動力は、ポンプ出口での油圧(PP)とオイル流量(QP)の産物である。数式1からのQPの値と、式3からのPHEにほぼ等しいPPの値を代入すると、ポンプの出力電力は式4として計算できる。

方程式4は、すべてのロスを無視すると、ポンプから供給される電力は、負荷に供給される電力とほぼ同じになることを示している。「シリンダーのサイズを変更することで消費電力を節約できるのか?」などの質問がエンジニアリングの会話でしばしば出てくるが、数式4がその答えを示している。シリンダーを大型化すると、数式3に因れば動作圧力の値が減少する場合がある事が分かる。しかしながら大きなシリンダー(式1)には大きなオイル流量が必要であるため、大きなポンプが必要である。その一方、シリンダーのサイズを小さくすると、オイルの流量が少なくなるため、ポンプも小さく出来る。
ただし、システムはより高い圧力レベルで動作する事となる。シリンダーのサイズに関係なく、ポンプはほぼ同じ電力を負荷に供給する(数式4)。シリンダーのサイズを変更したり、アクチュエーターのサイズを変更しても、油圧システムの消費電力は変わらないのである。