Manufacturing Trends

2030年の技術の見通し

2030 TECHNOLOGY OUTLOOK
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Article by: Asst. Prof. Suwan Juntiwasarakij, Ph.D., Senior Editor

思えば21世紀の技術変化のペースは未曾有のものであった。インターネットアクセスとスマートフォン技術が広範囲に普及する前の2000年代初頭には今2020年の生活を想像する事は全く出来なかった。そして開発途上国の成長と都市の大都市化により国連は世界人口が2030年までには85億人に達すると予想している。食料と清潔な水には大きな需要が出てくる。従って、この問題は数十億人の生活に影響を与える2つのテクノロジーを探求する事が必要となってくる。

2030年の技術の見通し
Source: Sean Culligan/OZY

第六世代(6G)

2030年までには5Gよりもさらに高速な新しいセルラーネットワーク規格が登場する。この第6世代(6G)の初期の研究は、中国、米国、及びにその他の国がより高い周波数での利用の可能性の調査として2010年代後半に開始された。

最初の4世代のモバイルは数百から数千メガヘルツで動作する傾向が有ったが5Gはこの範囲を数万までに拡大した。当時としては革新的なテクノロジーであり帯域幅を大幅に改善し遅延時間を短縮する事ができた。但しワイヤレスデータ転送の需要が急激に増加していたためサービスプロバイダーに益々圧力が掛かかり、特定のスペシャリストや新しいアプリケーションではさらに短い遅延時間が必要となったために全く問題が無いとは言い難かった。

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この事は100GHzから1THz以上の周波数に基づく6Gの開発に繋がった。データ転送速度が10倍になればユーザーは1秒あたりのテラビット(Tbit / s)を享受できる事になる。そしてAIと機械学習アルゴリズムで達成されたネットワークの安定性と遅延の改善は更に広い地理的範囲と組み合わせる事が可能となる。2020年代にすでに確立されていたモノのインターネットは、今ではさらに桁違いに成長し、数十億ではなく数兆の対象を接続する可能性があった。

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Different dimensions of the architecture of green 6G
Source: Huang, T., Yang, W., Wu, J., Ma, J., Zhang, X., & Zhang, D. (2019). A Survey on Green 6G Network: Architecture and Technologies. IEEE Access, 7, 175758-175768.

10年間掛けての調査とテストを経て、2030年代に6Gが広く採用されるであろう。しかしテラヘルツ範囲を超えての拡張を実現する事は非常に困難なためワイヤーレスコミュニケーションは現在進歩の面で頭打ちとなっている。これらの制限は何れ克服されるであろうが物理学における全く新しいアプローチと根本的なブレークスルーが必要となろう。セブンススタンド(7G)のアイデアも、瞬間的に次世代が出現するのではなく二歩前進一歩後退での代段階的な進歩でしか実現しないであろう。

淡水化

増え行く深刻な干ばつ、インフラの老朽化、地下帯水層の枯渇の組み合わせにより現在世界中の何百万人もの人々が危険にさらされている。現在も進行中の人口増加はこれを更に悪化させるだけであり世界の淡水供給は日々限界まで達している。この現実は淡水化技術の急速な拡大を余儀なくしている。

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Clean water consumption
Source: UN Environment Program

塩水から塩を取り除くというこの考えは既に紀元前320年に行なわれていた。1700年代後半には、ソーラーがまだ船上ストーブに組み込まれてる状態では有ったが米国海軍によって採用されていた。そしてマルチフラッシュ蒸留と逆浸透膜を使用した工業規模の淡水化が出現し始めたのは20世紀になってからである。化石燃料や原子力発電所からの廃熱を使用することも出来るが、それでも、これらのプロセスは法外に高価で、非効率的で、エネルギーを大量に消費する。

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Source: FutureTimeline.net

世界では毎年8000万人の人口が増加しておりこの数はドイツの全人口に相当する。21世紀初頭までには世界の資源需要は飛躍的に増大した。国連は人類が2012年から2030年の間には更に30%以上の水を必要とすると推定。これまで活躍していた淡水の生産効率の歴史的な改善も現在の気候変動の影響によって悪化した状況と人口の急増には最早役に立たなくなってしまった。