Manufacturing Trends

鉄道による公共交通機関:メガシティのリズム

Rail Transit: The Rhythm of the Megacities
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急成長する経済により人口が大都市に集中するため、私たちはかつて経験したことのない規模の大都市化に直面しています。世界保健機関は、2030年までに世界の各主要都市の人口は現在の人口からおよそ100万人増加し、また、世界の人口の3分の2近くが大都市に住むことになるであろうと予想しています。

 KMPG のForesight によると、鉄道はますます公共交通機関の基幹的な形態であると見なされるようになってきています。補完的な交通手段としてなくてはならないものであり、また個人的な移動手段である自動車などに代わる可能性のあるものです。とりわけヨーロッパや日本など、世界の一部地域では全く新しいものではないのですが、その転換の規模は並々ならぬものがあります。長距離鉄道と都市部の鉄道が今や、仕事やレジャーの際の交通手段として、ますます好まれるようになってきているのです。

 人々が地方から都市部やメガシティへ移動するのにつれ(特に開発途上国で、)ライトレール(軽量軌道交通)と通勤者のための交通機関に高い需要が生まれるでしょう。これに速やかに対応できない都市は頭を悩ませることになります。経済成長の面で好機を逃がすだけでなく、混雑状態のために生産力を低下させることにもなるからです。

鉄道による公共交通機関:メガシティのリズム
Figure 1: Emerging major cities around the globe 
(Source: World Health Organization)
鉄道による公共交通機関:メガシティのリズム
Table 1: The world’s largest cities and metropolitan areas by population as of 2016
(Source: World Health Organization)

ワンサイズではカバーできない

 PWCシンガポールによると、国内の公共交通機関の需要から敷設される鉄道プロジェクトのモデルには他にもいろいろあります。最適の設備を選ぶことは、政府と運輸当局にとって非常に重要な決定事項です。ある種の鉄道輸送は必然的にある状況を招きます。とはいうものの、政府はそれぞれの方法を互いに比べて綿密に検討するべきでしょう。評価は、競合する各々の必要経費と質との両面からなされなくてはなりませんし、技術的な実現可能性、地域環境、プロジェクトの実現により解決されるべき輸送関連の課題、また政府への全体の予算など、他の全ての関連要因も考慮に入れられなくてはなりません。例としては、モノレール、軽量軌道鉄道、地下鉄、そして長距離/高速鉄道という形態があります。

アジア、鉄道を基にした輸送

 アジア地域は急速に成長しており、都市化が進んでいるため、輸送機関の建設が必要とされています。鉄道は都市への通勤と長距離移動の需要を満たす一つの実現可能な選択肢です。何十億ドルの投資と支出を伴うプロジェクトが、数多く進行中または建設中です。

 タイはバンコクで複数の MRT の線路を建設中です。高速鉄道のネットワークを造設することが目的です。マレーシアでは、Electric Double Tract Project が実施されています。2017年にはKlang Valley Mass Rapid Transit が開始しそうです。さらにマレーシアとシンガポールは合同で、シンガポールとクアラルンプールを結ぶ高速鉄道プロジェクトを承認しました。また、ジョホールバルとシンガポールを結ぶ高速輸送システムが2018年に開始される予定です。台湾では、カオシュンライトレールが2015年以来操業しています。香港ではMRT の新プロジェクトが5つ進められています。西港島線、南港島線(東)と広深港高速鉄道などです。

 ベトナムの都市には現在稼働中の MRT システムはありませんが、ホーチミン市とハノイ市で進行中です。フィリピンでは、運輸通信省が LRT 1 Cavite Extension Project  を決定した他、LRT の延長や900㎞ の Integrated Luzon Railway など複数のプロジェクトが進行中です。インドネシアでもジャカルタ MRT を建設中で、最初の区間は2018年までに操業を開始する予定です。ジャカルタのモノレールは開発中であり、またHatta Airport Express Link も進行中です。バリ、バンドン、南スマトラ、スラバヤ、そしてスラカルタといった都市で、鉄道輸送のプロジェクトが計画されています。またジャカルタからスラバヤ・バンドンへの高速鉄道も提案されています。

ASEAN加盟国の課題

 振興のASEAN 加盟国の公共交通機関の運営会社と政府当局は、通勤者のための公共交通機関の規模的な課題に直面しています。輸送インフラとサービスの信頼性について、通勤者の満足度が高まるように改善する必要があるからです。アクセンチュアの公共交通機関の分析によると ASEAN の交通機関運営会社は、バス、鉄道、eチケット、路上センサー、そして道路状況と天気情報についての通勤者の優先傾向と、情報システムを統合できるような、複雑なシステムを導入する幅広い展望をもっているということです。これらのシステムは、運営会社が通勤者のニーズにさらに上手く対処していくのを助けるでしょう。