SkyQuestのグローバル医療機器市場レポートによると、医療機器の市場規模は、2021年は62.6億米ドルと評価され、CAGRでは、予測機関(2023年~2030年)に11.35%成長し、2022`年の63.4億米ドルから2030年には1345億6000万米ドルに成長する体制が整っています。医療機器市場は、ライフスタイルの変化による慢性疾患の増加、 在宅医療志向、高齢者の増加などの複数の要因で、今後数年間での成長が見込まれています。加えて、ウェアラブル電子機器とワイヤレス医療機器の需要の増加、ポータブル機器の利点の啓蒙の高まり、知能技術の普及によって推進されています。高齢者人口の増加が、慢性疾患の世界的な有病率の増加、家庭用監視機器の需要と相まって、市場の拡大を推進しています。さらに、世界中の大人の間で健康とフィットネスへの関心が高まり、フィットネストラッカーの需要が大幅に増加しています。ウェアラブル電子機器はアスリートのパフォーマンス、生理学的パラメータ、身体動態をを評価するのに役立ちます。そのためプロのアスリートの間で採用されることによって市場拡大へのポジティブな影響が期待されます。

医療機器市場は、タイプ別に治療用機器と診断用機器に分類できます。治療用機器部門は医療機器市場で優位に立っています。これは慢性疾患の有病率の増加と高齢者人口の増加によるものであり、これによりペースメーカー、インスリンポンプ、植え込み型除細動器のような医療機器の需要が高まっています。加えて、技術の進歩により、さらに洗練された医療機器が開発されました。
診断用医療機器部門は、最も急速に成長する医療機器市場部門になることが見込まれています。この成長は、疾患の早期発見・早期治療の増加、非侵襲的診断措置の需要の高まり、高度診断技術の安定供給によって推進しています。さらに、診療現場用検査装置の使用の増加と、ポータブルで手入力可能な診断装置の開発がこの部門の成長をさらに後押しすると見込んでいます。

北アメリカは、大手医療機器メーカーの多さや、高齢者人口の増加、治療サービスの需要の高まりによって、世界の医療機器市場を独占しています。アメリカ合衆国は、ウェアラブル機器、患者モニタリング機器、画像診断システムなどの高度医療機器の採用の多さから北アメリカ最大の市場となっています。さらに、 有利な償還政策と確立された医療インフラがこの地域の医療機器市場の成長に貢献しています。
アジア太平洋地域は、慢性疾患の有病率の増加や治療インフラの改善、医療費の高騰から、世界医療機器市場の中でも最も急速な成長を示すと見込んでいます。さらに、APAC地域は大規模な人口基盤をかかえ、医療機器メーカーにとっての広大な医療機器市場があります。中国とインドは高度医療機器の採用率が高く、APAC地域最大の市場です。

医療機器市場の市場動向における課題は、個別化医療と患者中心治療への移行です。これには、個々の患者のニーズや好みに合わせてカスタマイズした医療機器や技術の開発が含まれています。もう1つのトレンドは、医療従事者が患者を遠隔で監視し、治療結果の向上を可能にするデジタル医療機器と有線医療機器の使用の増加です。また、業界ではサステナビリティへの関心が固まっており、企業は環境への影響を軽減し、より環境にやさしい製品開発に注力しています。また企業が互いの強みやリソースを活用してイノベーションや成長を推進するコラボレーションや提携の動向も見られます。

おそらく、医療機器業界の究極の挑戦は新しい技術でしょう。技術によって医療機器業界を推進したり破壊したりする可能性があり、想像を超える新たな開発が行われています。治療プロトコルは拡張現実/仮想現実などの技術の進歩や、複数のスマートデバイスの発売で大幅に進化するでしょう。AIのような分野の発達によって診断と治療の選択肢を改善し、治療コストを下げます。その結果、病院で過ごす時間が減少し、将来性のある分野である予防技術へシフトします。

Article by: Asst. Prof. Suwan Juntiwasarakij, Ph.D., Senior Editor