Article by: Pachern Jansa (Asst.Prof.), School of Engineering, Sripatum University
電磁結合によるワイヤレス電力伝送(WPT)の概念は、ニコラ・テスラ(1891)の先駆的な研究で述べられている。伝導(またはワイヤレス)充電(WC)とは、ユーザーが車両/デバイスをケーブルで充電ポイントに接続する事なしにバッテリーを充電する方法だ。電気自動車のワイヤレス充電(EVWC)テクノロジーは、図1に示すように、電磁場を使用してEVと充電パッドの間の小さなギャップにエネルギーを伝達することにより、磁気インダクタンスと磁気共鳴の原理に基づいて動作する。

EVWC分野には、WiTricity、Qualcomm、Conductix-Wampfler、Bombardier、EVWireless、Momentum Dynamics等をはじめに主要な企業が幾つかある。WiTricityは、マサチューセッツ工科大学発祥のマサチューセッツ州ウォータータウンの新興企業だ。同社の商品化されたEVWC技術には、強力に結合された磁気共鳴を介してWPTで動作する受信機と送信機の充電パッドが含まれる。図2(a)に示すように、受信機パッドは車の下部に取り付けられ、送信機パッドはガレージの床にまたは舗装された駐車場に埋め込まれる。クアルコムのHaloグループは、オークランド大学と共同で固定式WCパッドを開発した。同社の特許取得済みの「ダブルD」磁気分極パッド(図2(b))は、円形パッド(図2(c))と比較して2倍の電力をより効率良く供給できる独自の配置であるとの事で有る。Conductix-Wampflerの誘導WCシステムは、過去10年間、イタリアのトリノの電気バスですでに稼働している。同社のシステムは、道路に設置される一次(固定)側と二次(車両)側で構成されている。ボンバルディアのPRIMOVEシステムは、バス、自動車、さらには軽鉄道システムの静的充電およびに動的充電の何れでもそれら車両のニーズに対応できる。
同社のシステムは現在、ドイツのブラウンシュヴァイクの公共交通機関のバスで使用されている。EVWirelessは、パルス伝送ナノコンポジット磁気結合(PTNMC)技術を使用するEVワイヤレス充電器を開発し、これにより、電気エネルギーを高電圧および高周波数で断続的に高効率供給する事ができる。Momentum Dynamicsは、エネルギー供給業者がシステムを使用してEVを充電する人々から使用料金を徴収する事を可能にするソフトウェアを開発した。Momentum Dynamicsのシステムは現在、SmithEVの一部のFedExトラックに搭載されている。HEVO Powerは、静的および動的WCゾーンを手掛けるもう一つの企業だ。同社のシステムは、オープンパーキングゾーンを見つけ、ドライバーが地上の発電所を車のレシーバーに合わせる事の出来る独自のスマートフォンアプリを使用している。表1は、商用化されたEVWCテクノロジーとその仕様をまとめたものだ。

Table 1: EVWC Companies

電気自動車のワイヤレス充電技術は、韓国科学技術院(KAIST)、ユタ州立大学、オークリッジ国立研究所(ORNL)、東京大学、オークランド大学、摂南大学などの国際的な研究機関や大学によって研究され続けている。大学、東光大学、埼玉大学及びにブリティッシュコロンビア大学。表2には、上記で触れた調査作業と、開発した各システムの様々な仕様のリストが含まれている。
Table 2: EVWC Research

EVWC技術は電気自動車に適用することが可能であり、WCシステムの効率は従来の有線充電よりも約7〜10%程度低い事が分った。しかし、現在販売されている電気自動車の中には、ワイヤレス充電システムが搭載されているものが幾つかある事は明らかだ。そして、ワイヤレス充電システムの機能を備えた充電ステーションを開発する事は必要なのだ。WCシステムの安全性と規制はまだ始まったばかりだ。2017年、Society of Automotive Engineers(SAE)は、最大11kWの電力の転送を可能にするEVのワイヤレス充電規格を市場投入した。また、China Electricity Council(CEC)は、WiTricity4によって開発および特許取得された磁気共鳴技術に基づく、電気自動車のワイヤレス充電に関する一連の国内標準を承認、公開した。 EVWCテクノロジーはまだヨチヨチ歩きの段階にあるため標準化の欠如にが問題となっている。WC技術の成長は、主にEVの成長と充電ステーションインフラの開発に頼るところが大きい。しかし、EVの世界をより良い方向に変える事が出来るかもしれない。
1 IRENA (2019), Innovation outlook: Smart charging for electric vehicles, International Renewable Energy Agency, Abu Dhabi.
2 Taylor M. Fisher et. all. (2014), Electric vehicle wireless charging technology: a state-of-the-art review of magnetic coupling systems, Wireless Power Transfer, 1(2), 87–96.
3 Pollution Probe and The Delphi Group (2018), Final project report : City of Toronto electric mobility strategy assessment phase, Retrieved from: https://www.toronto.ca/wp-content/uploads/2019/05/9685-EMS-Assessment-Phase-Final-Project-Report.pdf
4Mark Kane (2020), China To Introduce EV Wireless Charging Standard Based On WiTricity Technology, Retrieved from: https://insideevs.com/news/420700/china-ev-wireless-charging-standard-witricity-tech/